本日は、今日本で一番有名なマンションと言っても過言ではない「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の将来を予想しつつレビューしていきたいと思います。
晴海フラッグは今後将来にわたって繁栄することができるのか?それとも衰退してしまうのか?
そもそも選手村として使った建物を分譲マンションとして転用する計画「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の背景には、同じように2012年のロンドン・オリンピックで選手村を改装した新しい街「イーストビレッジ」が人気住宅街として大成功したということがありました。
晴海フラッグも東京の大人気住宅街となるべく期待を背負い、プロジェクト立ち上げ当初から話題となりました。
以下詳しく考察していますが、このロンドンにある大人気「イーストビレッジ」はどう考えても「晴海フラッグ」ではなく「武蔵小杉」に似ているのです!!
そして「晴海フラッグ」は神戸にある「六甲アイランド」に怖いほど酷似して見えます。
「六甲アイランド」といえば、バブル期に華やかな発展が期待された埋立地として人気を誇りましたが、阪神淡路大震災をきっかけに衰退が始まり、今では商業施設等の撤退により、衰退は止どまる所を知りません。
ちなみに、私は「晴海フラッグ」の購入は万人にお勧めできるものではないと思っています。理由は過去記事で解説していますので合わせてご覧ください。
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では以下考察していきます。
晴海フラッグと酷似する六甲アイランド
「晴海フラッグ」をみて「六甲アイランド」を思い出した方もいるのではないでしょうか?東京と神戸、場所は違えど、この二つの島は多くの面で酷似しているのです。
(とはいえ六甲アイランドができたのは私が生まれる前ですので、実は不動産のことを勉強するまでは存在すら知りませんでした)
六甲アイランドとは?
六甲アイランドとは、神戸市東灘区沖で1972年(昭和47年)に埋め立てが始まり、1988年(昭和63年)に街開きされた人工島(いわゆる埋立地/湾岸)です。商業施設やレジャー施設などが整備されましたが、1995年(平成7年)の阪神大震災や不況などの影響で、店舗閉鎖や企業流出が続いており、衰退の一途を辿っています。
晴海フラッグとの類似点は多くあります。
- 再開発事業の内容:どちらも埋め立て地で一からの街づくりを行い、かつ戸数も、晴海フラッグは5600戸程度、六甲アイランドは4000戸程度と類似しています。島の中に商業施設や教育・保育施設、公園など綺麗に整備がされる点でも似通っています
- 価格面:時代は違えど、どちらも周辺の相場が大きく上がっている時代に、主に低価格がウリになった(なっている)物件です
- 人気度:晴海フラッグも大人気ですが、当時は六甲アイランドも大人気で超高倍率の抽選だったようです
- 交通利便性:(東京BRTの運行が予定通りスムーズに行われたと仮定して)両物件とも大変微妙な交通アクセスです
六甲アイランドが衰退した理由
交通利便性を軽視した計画 〜 人の流れを変えるのは想像以上に難しい
六甲アイランドでは、当初何もない砂漠状態だった島に4000戸ものマンションを建てたわけですが、住民の足を確保するために鉄道「六甲ライナー」(ゆりかもめのような特殊軌道式の新交通システム)を敷き、JR住吉駅と連結しました。
これはバスが運行するだけの晴海フラッグより十分すごいのですが、これでも交通の便が微妙という評価になっているようです。
神戸の中心駅「三ノ宮」までは六甲ライナーが通る最寄駅から乗り換えて30分ですし、バスも通っています。加えて大阪駅までも40分以内で到着です。
しかし、六甲ライナーからの乗り換えが面倒くさいらしいのです。加えて値段も少し高いようで250円です。路線の乗り換えとなると、毎日のことですので意外と高くつきますよね。この不便さの代償が資産価値の下落、街全体の過疎化・衰退として現れているようです。街づくりって壮大で難しいですね…
対する晴海フラッグですが、キチンと走るかもまだ分からない東京BRT頼みで、最寄駅は徒歩20分と六甲アイランドにあるマンション群よりも断然駅遠です。
加えて東京BRTの運賃は220円(片道)。地下鉄やJRに乗り換えとなると、こちらも通常よりは多い出費ですよね。
またオフィスは東京や虎ノ門・新橋付近だけではありませんよね。IT企業は渋谷・目黒・五反田にかけて集積し始めていますし、品川駅・新宿駅にだってオフィスがあります。
そちらまで行くには何分かかるのでしょうか?結構遠いです。「六甲アイランド〜大阪駅」より時間かかるのではないでしょうか。近くの勝どき、豊洲からの交通アクセスも比較してみましょう。
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大丈夫でしょうか、晴海フラッグ…東京BRTのみで人の流れを変えることが出来るのか?!
「晴海フラッグは神戸ではなく、日本の首都の東京だ!」という声が聞こえてきそうです。でも東京だって人口減少は2025年頃から始まると言われていますよ。六甲アイランドだってバブル時代に人口が増えていく中で作られたのです。東京なら大丈夫というのはいつまで続くのでしょうか。
繁栄から衰退への転機は「阪神淡路大震災」〜 果たして晴海フラッグは首都直下地震を生き延びられるか?!
六甲アイランド衰退のきっかけは、1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災だったと言われています。
高層建築物自体はほぼ無事だったものの液状化被害は大きく、極め付けは島と本土を結ぶ「六甲大橋」が被害を受けたため、交通インフラが途絶して孤立化したことが住民の恐怖心を掻き立てたようです。
東京でも首都直下地震は必ず来ると言われています。その時晴海フラッグは大丈夫でしょうか。第一に安全性はデベロッパーが担保してくれているでしょう、そこは新築ですしそれなりに安心かもしれません。
しかし資産価値はどう変化するのでしょうか。購入するのであれば覚悟を持っておきたいところです。
ロンドン五輪選手村は日本の武蔵小杉だった
晴海フラッグがお手本とした街である「イーストヴィレッジ」(2012年のロンドン・オリンピックで選手村を改装した新しい街)は、交通利便性の観点から「晴海フラッグ」とはかけ離れた存在であり、お手本にはできないと考えます。
この大成功した人気住宅街「イーストヴィレッジ」の素養を持っているのは、日本では「晴海」ではなく「武蔵小杉」なのです。理由は以下です。
優れた交通利便性 〜 鉄道アクセスの優位性という点で2つの街は酷似している
まず、「イーストヴィレッジ」があるストラットフォードという街には、ストラットフォード駅があります。
ロンドンでは中心街ゾーン1からゾーン6までの区切りがあり、離れるほど田舎になります。ゾーン1というのが東京で言うところのいわゆる「都心3区」のような感覚で良いかと思います(ちょっと違いますが)。
ストラットフォードはゾーン4に位置しますが、この駅には地下鉄や国鉄など(JRのようなものも含めて)多くの路線が乗り入れているターミナル駅になっており、利便性が大変高いです。
例えば、金融の中心街である「セントポール」や「カナリー・ワーフ」まで地下鉄利用、乗り換えなしで30分あれば到着してしまいます(マンションからの徒歩時間含む)。これは武蔵小杉駅から東京駅まで乗り換えなしで20分でいけるのと同じ利便性です。
またロンドンでいう銀座的な「オックスフォードサーカス」や、表参道・青山的な「コヴェントガーデン」にも直通30分以内。ハリーポッターで有名になった「キングス・クロス」駅(日本で言う東京駅か品川駅的存在)にも直通15分でいけるのです。
私は何年かロンドンに住んでいましたが、「ストラットフォード」ってわざわざ行くところではないですし、地方都市に行くときに通過する駅くらいにしか思っていなかったので、こんなに都心に近いとは驚きでした。そんな放置されてた好条件の立地が再開発されたのです。
武蔵小杉的な匂いがプンプンしてきました。武蔵小杉は東京ではなく神奈川、イーストヴィレッジはロンドン市内の端っこという違いはありますが。
もともと工場地帯だった場所が中〜高所得ファミリー向けの緑豊かな住宅地へ生まれ変わった
両者とも元々工業地帯であったことから、高い利便性にも関わらず都心から離れていたため開発が進んでいなかった地を一気に街づくりしてしまった、という点で「イーストヴィレッジ」と「武蔵小杉」はとても似ています。
実際「イーストヴィレッジ」の成功は街づくり戦略によるところも大きいとは思いますが、そもそもポテンシャルの高い土地だったわけで、晴海フラッグのようにポテンシャルがあるか分からないけど箱を作ってなんとか足を確保すれば売れるだろう、という六甲アイランド的な開発とは一線を画すものであります。
最後に
すでにある街を改善する再開発というよりも、”新しい街の創造”レベルの再開発が行われている「晴海フラッグ」ですので、この新しい街がどうなっていくのかということに、東京に住むー個人として、そしてマンションブロガーとして関心を持っています。
そして未来予測は過去を知ることから、そして歴史は繰り返すといいますから、このように他の類似地域の昔と今を知っておくことは、晴海フラッグを検討する上で大切なのではないかと考えています。
私の期待を良い意味で裏切ってくれることを願っています(^^)
晴海フラッグ購入の注意点はこちら:
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東京BRTの注意点と最新情報はこちら:
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